しっかりした大人に見えていた人が、弱さを見せて恥ずかしがる姿って、可愛くありませんか？
「舞台裏のシンデレラ」は、女装を仕事にしている佳衣史（かいし）さんが、主人公の物語です
女装グッズ専門サイトを運営し、生計を立てる佳衣史さんは、自立した立派な社会人です
けれど、心の奥に、隠れた弱い部分も持っています
強くも弱くもあり、賢くて愚かでもある、そんな人間の奥深さを味わいたい方におすすめです
「舞台裏のシンデレラ」あらすじ
本作は、相沢佳衣史（あいさわ かいし）さんと、宮原時生（みやはら ときお）さんの物語です
佳衣史さんは、女装子（じょそこ）・カレンの名前で、女装グッズを販売するサイトの運営者
ある日、パーティーで大学生の時生さんと知り合い、良い雰囲気になります
女性と思ってキスしてくる時生さんに、佳衣史さんは、自分の秘密を明かして・・・
（2019年8月25日 新書館ディアプラス文庫）
「舞台裏のシンデレラ」感想
内容も面白いし、登場人物も愛しい、大好きな作品です
特に、佳衣史さんの内面的なところが、格好良くて、すごく素敵でした
当然、弱い部分もあるんですけど、根っこのところで、気持ちが男前なんで、折れない
傷ついても、泣いても、力ずくで前に進む感じ
そこに、時生さんも惹かれるんですが、そりゃ惚れるわ、って思いました
いやあ、ホント、中身が、とにかく男前でした
時生さんの方は、人の本質を見抜く賢さがあり、包容力もあるけど、若さゆえの甘さもある
特に、佳衣史さんに頼られたいって悩むところが、年下らしく、可愛らしかったです
2人とも、すごく素敵でした
この2人のキャラが魅力的な上で、女装とか、2人の過去とかが、話に出てくるんですよ
もう、面白くないわけがない！
ええ、ええ、とっても面白かったです
何回も読み返しているし、これからも、ずっと読んでいくだろう作品です
愛情が伝わる、伊藤七つ生先生のイラスト
伊東先生の描く2人が、表情豊かで、とても素敵です
いや、もう、表紙も挿入絵も、大好きです！
特に、時生さんの描かれ方が！
表紙の佳衣史さんを守るように、体を寄せているとことか、口角が上がってるとことか、
文中のイラストで、恥じらう佳衣史さんを優しく見つめる表情とか、
ホントに佳衣史さんのことが、大事なんだってことが伝わってきて、ほっこりします
特に、時生さんの佳衣史さんを見つめる眼差しが、愛にあふれていて、あたたかいんですよー
眺めているだけで、幸せになります
「舞台裏のシンデレラ」は、「人魚姫のハイヒール」のスピンオフです
「舞台裏のシンデレラ」は、2016年に発売された「人魚姫のハイヒール」のスピンオフです
どちらも、お話としては独立しているので、どちらから読んでも問題ありませんし
1冊だけでも、十分楽しめると思います
一応、物語の時系列としては、「人魚姫のハイヒール」→「舞台裏のシンデレラ」の順です
どちらも読んでみたいという方は、上記の順番で読まれるのが、よりスムーズだと思います
なお、「人魚姫のハイヒール」は、会社員の瀬戸さんと同僚の加賀谷さんの物語です
瀬戸さんが、カレンちゃんの女装サイトを利用しているという関係です
イラストは、「舞台裏のシンデレラ」と同様に、伊東七つ生先生です
ヒトの心が持つ複雑性や奥深さを味わいたい方に、オススメの作品です
- 自立した大人の佳衣史さんが、強くて格好良いです
- 佳衣史さんの隠してきた臆病で弱い心を、包み込む時生さんが素敵です
- 強くも弱くも、賢くも愚かでもある、人の心の奥深さを味わいたい方におすすめの作品です
