記事内に広告を含みます

一般小説を発表しているBL小説家おすすめ6人

imaged by David Travis from Unsplash

みなさんが読まれるのは、BLオンリーでしょうか?

それとも、BL以外も読まれますか

BL以外も読まれるのであれば、BL作家さんが書いた一般小説は、いかがでしょうか?

ネットの書評をみると、BL出身作家の一般小説って、評価が低いことが多いなと感じます

でも、個人的には、面白い作品が多いと思っていますし、

何度も読み返しているものが、何冊もあります

なので、BL作家の一般小説が、もっと高く評価されたらいいのに!って、ずっと思っています

というわけで、今回は、

一般小説も発表されているBL作家6名と、各先生の主な作品を、まとめてみました

  • 一般文芸作品を、公式に発表されているBL作家の先生を対象にしました
  • どちらのジャンルの小説とも、ここ10年以内に出版された先生で考えました

あらためてリストにすると、BL作家として、ベテランかつ実力派の先生方ばかりですね

先生方のお名前で、ある程度の売り上げが見込めるっていう、出版社側の狙いもありそうです

各先生のBL作品と一般作品を、比較してみるのも、面白そうですね

では、お一人ずつ、見ていきます

(注:後日、追加記事を書きました)

おすすめ1人目:凪良ゆう先生

Photo by Kristine Cinate on Unsplash

まず1人目は、凪良ゆう(なぎら ゆう)先生

本屋大賞を2回受賞され、2024年現在、最も有名なBL作家のお1人です

BLデビューが2006年、一般小説デビューが2017年です

  • 商業誌デビュー:2006年「恋するエゴイスト」(「小説花丸」掲載)
  • 一般小説デビュー:2017年「神さまのビオトープ」
  • 一般小説:2019年「流浪の月」(第17回本屋大賞受賞)
  • 一般小説:2022年「汝、星のごとく」(第20回本屋大賞受賞)
  • 一般小説:2023年「星を編む」(第21回本屋大賞 第8位)

一般文芸作品「汝、星のごとく」

imaged by Hans from Pixabay

2022年8月に発売され、第168回直木賞候補作になるなど、大きな話題となった作品です

本作は、瀬戸内海の閉鎖的な島に生きる高校生の暁海(あきみ)と、櫂(かい)の物語です

キャッチコピーは、「正しさに縛られ、愛に呪われ、それでもわたしたちは生きていく」

男女の恋愛がメインですが、同時に家族のあり方や倫理などを、幅広く問いかける作品です

装丁が美しいので、できれば、本屋さんで、実際に手に取ってもらいたい1冊です

2023年11月に

続編「星を編む」が発売されました

こちらも、とても素敵な作品

2024年本屋大賞にノミネートされました

BL作品「美しい彼」シリーズ

imaged by Anuja Tilj from Unsplash

凪良先生のBL作品で、おすすめを1つ選ぶとすれば、このシリーズ!

全体のあらすじは、高校生の平良(ひら)は、無口で友達もおらず、クラス内の序列も最底辺

そんな平良が、人気者の清居(きよい)に、一目ぼれして・・・という物語です

これまでのところ、続編が2冊、番外編が1冊発売されています

本作は、2021年に、毎日放送で放映されたドラマが、大きな話題を集めました

さらに、2023年には、映画も公開されました

その他、漫画化もされていますし、ドラマCDもあります

お手に取りやすいものから、作品の世界に入ってみては、いかがでしょうか?

おすすめ2人目:一穂ミチ先生

imaged by 6689062 from Pixabay

2人目は、一穂ミチ先生

一穂先生は、元々、BLデビュー作から高い評価を受けていた作家さんです

デビュー後も、コンスタントに佳作を発表し、BL業界では、実績も人気もある有名な先生です

近年話題になったBL作品は、2014年に第1作目が発表された「イエスかノーか半分か」シリーズです

1作目から、高い人気を博し、2020年にはアニメ化もされました

そんな一穂先生が、一般文芸でデビューされたのは、2021年です

一般文芸デビュー作「スモールワールズ」も、本屋大賞にノミネートされるなど高く評価されました

そして、そして

2024年7月、「ツミデミック」で直木賞を受賞されました!

大ファンの1人として、とても嬉しかったです^^

BL作家としても、一般文芸作家としても、人気と実力を兼ね備えた先生です

  • BL商業誌デビュー:2007年「雪よ林檎の香のごとく」
  • 一般文芸作品デビュー:2021年「スモールワールズ」(第19回本屋大賞3位、第43回吉川英治文学新人賞)
  • 一般小説:2022年「光のとこにいてね」(第20回本屋大賞3位)
  • 一般小説:2023年「ツミデミック」(第171回直木賞受賞)

直木賞受賞作品「ツミデミック」

Image by Pexels from Pixabay

2024年7月17日、第171回 芥川賞・直木賞選考会が行われました

ここで、直木賞を受賞したのが、一穂ミチ先生「ツミデミック」です

先生が直木賞にノミネートされたのは、3回目

まさに3度目の正直、という感じですが、直木賞は何度もノミネートされる先生が多いので

3回目での受賞は、むしろ早い方かなと感じます

まあ、なにせ、おめでたい^^

「ツミデミック」は、コロナ禍で生きる人々の営みが描かれた短編集です

全6話から構成され、罪を犯すこと、生きること、命などについて考えさせられる作品が並びます

まず、各話は独立していて、どれから読んでも問題ありません

また、1話が比較的短いので、軽く一穂先生作品を試してみたい方にもオススメです

先生の作品の良さは、ホントにたくさんあって

文章の美しさや、展開のうまさ、切り口の斬新さなど、上げればキリがありませんが

その中でも、本作は特にうまさが際立つ気がします

作品を読むたびに思いますが、すごい才能だなと

そして、BLデビュー作から人気で、ファンも多い中、

長年、仕事と執筆を両立されていたことも、よく知られています

ホントに、才能と努力の塊の先生だと思います

そんな先生の直木賞受賞作、よかったぜひお試しください

一般文芸作品「光のとこにいてね」

imaged by Dani Géza from Pixabay

2022年に出版された本作も、第168回直木賞候補になり、話題を集めました

受賞には至りませんでしたが、こちらもステキな作品です

本作は、2人の女の子が主人公です

1人は、裕福な家庭で育った小瀧結珠(こたき ゆず)

もう1人は、シングルマザーの母と、団地に暮らす校倉果遠(あぜくら かのん)

2人の出会いと別れを、小学校2年生から四半世紀にわたって描いた物語です

BL作品「イエスかノーか半分か」シリーズ

Photo by Kenny Eliason on Unsplash

一穂先生のBL代表シリーズは、やはりコレかなと思います

アナウンサーの国江田計(くにえだ けい)と、

アニメーション作家の都築潮(つづき うしお)の物語です

2020年には、アニメ映画化もされました

竹美家らら先生のイラストが、淡く優しく、かわいらしいです

「イエスかノーか半分か1~3」、番外篇3冊、エピソード集「OFF AIR」4冊が出ています

おすすめ3人目:榎田尤利先生

Photo by Anthony DELANOIX on Unsplash

おすすめの3人目の先生は、榎田尤利(えだ ゆうり)先生です

榎田先生も、BL界では知らない人はいないくらいの大御所の先生です

BLデビュー作「夏の塩」が、あまりに完成されていて、「伝説的作品」と言われたりします

デビュー後も、コンスタントに作品を発表しつづけ、長い間ずっと楽しませて下さっています

多作で、100冊を超える作品があります

また、取り上げるジャンルも幅広く、単作もシリーズものもあります

BL以外では、2007年からライトノベルで、執筆を開始されました

神官ものや、歌舞伎ものなどの作品を、楽しむことができます

2018年になって、一般文芸の枠でも、作品を発表されています

  • BL小説デビュー作:2000年7月「夏の塩」(クリスタル文庫)
  • BL執筆は、基本的に「榎田尤利」名義
  • 他に「榎田ユウリ」名義があり、作品によって使い分けられている
  • 非BL初作品:2007年「宮廷神官物語 選ばれし瞳の少年」(角川ビーンズ文庫、ライトノベル、榎田ユウリ名義)
  • 一般文芸作品:2018年「この春、とうに死んでるあなたを探して」(筑摩書房)

一般小説「妖琦庵夜話」シリーズ

Photo by Thula Na on Unsplash

妖琦庵夜話(ようきあんやわ)と読みます

2023年7月に最終第10巻が発売され、長きにわたって紡がれてきた物語が完結しました

角川書店から第1巻が発売されたのが、2009年ですから、実に20年以上かけて描かれた物語です

お話の舞台は、妖怪のDNAを持つ人間「妖人」が存在する世界

その世界の茶道家であり、妖人でもある洗足伊織(せんぞく いおり)が、主人公です

伊織さんが、妖人の事件を扱う刑事達と関わり、やがて事件にも巻き込まれていきます

イラストを、BL漫画の金字塔「同級生」の作者である中村明日美子先生が担当されています

明日美子先生の繊細な描写が、榎田先生の独特の世界観を、美しく妖しく表現していて素敵です

BL作品「永遠の昨日」

Photo by 2y.kang on Unsplash

榎田先生のBL小説は、本当にたくさんあり、どれも面白くて1冊に絞りきれないのですが

2022年にMBSでテレビドラマ化された本作も、ぜひ読んでいただきたい、おすすめの作品です

明るくクラスで人気者の山田浩一(やまだ こういち)と、

人付き合いが苦手な青海満(おうみ みつる)は、高校の同級生

2人は惹かれ合っていましたが、ある日、浩一が交通事故に遭ってしまい・・・というお話

元々、2002年2月にBLのレーベルであるCROSS NOVELS(笠倉出版社)で出版された作品です

加筆修正されたものが、2022年3月23日に角川文庫にて出版されました

一般文庫に収録されているBL作品です

おすすめ4人目:英田サキ先生

imaged by Karolina Grabowska from Pixabay

おすすめ作家4人目は、英田サキ(アイダ サキ)先生です

BL作品の「DEADLOCK」シリーズが、特に人気の先生です

ジャンルとしては、警察、刑務所、裏社会を題材にした作品で有名です

イケメンたちが、命がけで職務を遂行し、大切なもののために尽くす姿をカッコよく描いておられます

  • BL小説デビュー作:2004年「NGだらけの恋なんて」(プランタン出版)
  • 一般小説は、「アイダサキ」名義で発表
  • アイダサキデビュー作:2013年6月「永弦寺へようこそ 幽霊探偵久良知漱」(講談社X文庫)

一般小説「サイメシスの迷宮」

imaged by Olya Adamovich from Pixabay

元々BLで、警察や裏社会を題材にした作品を書かれていた英田先生

非BL作品でも、警察を舞台にしたサスペンスを発表されています

それが、「サイメシスの迷宮」シリーズです

まず本作は、バディもので、1人が超記憶症候群という特別な記憶力をもってます

超記憶症候群とは、見たもの、周りで起こったこと、それら全てを覚えている力のことです

警視庁捜査支援分析センターに配属された神尾文孝が

上司で、超記憶症候群の羽吹允とコンビを組むことになり、

2人で捜査にあたっていくという物語です

2024年7月現在、3巻まで発売されています

BL作品「DEADLOCK」シリーズ

imaged by Ryan McGuire from Pixabay

BL小説ファンにとっては、英田サキ先生=DEADLOCK、でしょう!

シリーズ始まりの舞台は、アメリカの刑務所

主役は、同僚を殺した罪で収監された麻薬捜査官のユウトです

刑務所内に潜むテロリストを見つけ出せば、刑務所から出られるユウト

同房になったディックや、他の囚人達を探るうち、彼の身に危険が・・・というお話です

高階佑先生のイラストが、とにかく格好よくて、スマートです

DEADLOCKとしては3冊で終わっていますが、番外編や外伝、Season2という形で続編が発表されました

おすすめ5人目:木原音瀬先生

imaged by Jill Wellington from Pixabay

おすすめ5人目が、木原音瀬(このはら なりせ)先生です

木原先生も、BL業界で人気と実力を兼ね備えたベテラン作家のお一人です

BL商業誌デビューが1995年ということなので、この業界で、もう25年以上活躍されています

木原先生が他の先生と少し違うのは、一般の講談社文庫にBL作品が収録されていることです

元々2006年BLレーベルで出版された「箱の中」が、2012年講談社文庫で再書籍化されました

その他のBL作品「美しいこと」や「秘密」も、同様に講談社文庫で再出版されています

木原先生の一般文庫の作品は、BL作品か否か、事前に確認することをお勧めします

  • BL商業誌デビュー:1995年「眠る兎」
  • BL作品「箱の中」は、雑誌『ダ・ヴィンチ』で「BL界の芥川賞」と評価されました
  • BL作品「美しいこと」「秘密」「箱の中」は、後年、講談社文庫にも収録されました
  • 一般文芸単行本1作目:2017年「ラブセメタリー」(集英社)

一般小説「捜し物屋まやま」シリーズ

imaged by Andrés Salas from Unsplash

過去のBL作品が、「BL界の芥川賞」と称えられたことがある木原先生

えぐい話や痛い話も多く、一般小説「ラブセメタリー」なども、読む人を選ぶ感じがします

そういうものは、オススメには、持ってきにくいので、ここは「捜し物屋まやま」シリーズで

このお話は、個性的な4人の男たちが、事件や捜し物を解決していく物語です

始まりは、天涯孤独の三井の家が全焼し、”捜し物屋”の間山和樹に助けられるところから

メインキャラクターは、三井、和樹、和樹の弟の白雄、弁護士の徳広の4人

彼らが、様々な事件を解決していきます

設定は、一般よりもライトノベル寄りです

しかし、木原先生らしく、人間の闇や悪も描かれており、仄暗さや奥深さもしっかりあります

完結済で、全3巻です

BL作品「Borderline」

imaged by Petra from Pixabay

木原先生のおすすめBL作品を1冊選ぶのは、正直とっても難しいなと思います

良い作品は、多いんですけど、痛かったり、怖かったり、読む体力が必要な作品が多くて

ハマる人はハマるけど、ムリな人は、とことんムリな作品も、割とあるという。。。

なので今回は、そんなに痛くもなく、読後辛くもない、比較的万人寄り(木原先生比!)の本作を

メインの2人は、兵役で従軍した大学講師のガレと、職業軍人のジャックです

密かに惹かれていたジャックに、ガレが突然呼び出されたことから、物語が始まっていきます

架空の国の戦争、特殊な身体など、いわゆるファンタジーです

木原ワールド、よかったら、お試しください

おすすめ6人目:菅野彰先生

Image by Engin Akyurt from Pixabay

おすすめ6人目は、菅野彰(すがの あきら)先生

菅野先生は、BL小説家として30年以上のキャリアがあるベテラン作家のお1人

同時に、他ジャンルでも長年たくさんの作品を発表されていることでも有名な先生です

発表された作品ジャンルは、多岐にわたり

BL小説や一般小説だけではなく、漫画原作やエッセイなども手掛けておられます

特にエッセイは、「海馬が耳から駆けてゆく」シリーズが人気です

また、BL小説でも、多数の作品がシリーズ化されています

2024年5月には、「色悪作家と校正者の不貞」シリーズ最終巻が発売され話題となりました

  • 初期BL小説作品:1994年「死にゆく夏の、喘ぎにも似て」
  • 代表的なBL小説:「毎日晴天!」シリーズ、「色悪作家と校正者」シリーズなど
  • エッセイ:「海馬が耳から駆けてゆく」シリーズ
  • 一般文芸:2018年「硬い爪、切り裂く指に明日」(河出書房新社)など
  • ライトノベル:2024年「西荻窪ブックカフェの恋の魔女」(集英社オレンジ文庫)

一般小説(ライトノベル)「西荻窪ブックカフェの恋の魔女」

Photo by Artem Beliaikin on Unsplash

2024年2月に発売された本作は、先生の小説愛と博識さが存分に味わえる1冊です

ブックカフェの女性オーナーが主人公で、本にまつわるあれやこれやが登場します

いわゆるライトノベルとか、キャラ文芸といったジャンルの作品になります

全体に、ライトノベルらしい温かく軽妙な雰囲気がありつつ

先生らしい洞察力の鋭さも垣間見える短編連作集

菅野作品を初めて読むなら、まずはこの作品から試してみてはいかがでしょうか?

BL作品「色悪作家と校正者」シリーズ

Photo by Toa Heftiba on Unsplash

菅野先生のBL代表作は、「毎日晴天!」シリーズだと思います

ただ第1作の発売が1998年と20年以上前ですし、20作以上の長寿シリーズになっています

菅野先生作品を初めて読むには、ちょっとハードルが高いかなあと

というわけで、おすすめとして考えたのは、「色悪作家と校正者」シリーズ

実は、これも10作はあるんですが、第1作は2018年発売で、比較的最近のシリーズ

まず第1巻だけでもいいので、読んでいただきたいなと

作家と校正者のお話で、1作目だけでも話としては完結してるし楽しめます

先生の本への愛やこだわりが詰まっていて、特に本好きの方におすすめです

まとめ

一般文芸でも作品を発表されているBL作家の中から、おすすめの先生を考えてみました

気になった先生、気になった作品があれば、ぜひ一度読んでみてください

お気に入りの1冊を見つける参考にしていただければ嬉しいです